カルティエ サントス カレ/スクエア オートマチック LM ハンジャール/オマーン王室 Ref.2964 1980年代 CARTIER SANTOS CARREE/SQUARE AUTOMATIC LM KHANJAR/ROYAL EMBLEM OF OMAN Ref.2960 YG Ca.1980s

サントスはカルティエの中で最も古くから存在するモデルで、世界で初めて成功を収めた紳士用腕時計と言われています。飛行家のアルベルト・サントス・デュモンの「飛行中に操縦桿を離さず時間を確認したい」という願いを受けて、レザーストラップをつけた腕時計を作った事から始まりました。1904年に発売されて以降、今なお人気の高いモデルとなっています。

こちらは1980年代のわずかな期間に製造されたオマーン王室のスペシャルオーダーのサントスカレ/スクエアです。先日ロンドンのオークションの表紙を飾ったモデルで、当時イギリスの外交官がプレゼントされたようです。ヨーロッパで3個アジアで1個確認され、アジアの1個はこの個体だと思います。1973年に発表された「ルイカルティエコレクション」のサントスに似ている箱のようなデザインですが、自動巻のローターの分の裏蓋が膨らんでいます。文字盤にあるオマーンの伝統的な短剣/ハンジャルが交差した国章の上に配置された王冠で王室のスペシャルオーダーと確認出来ます。ここで注目して頂きたいポイントは王冠とゴールドの組合せです。当時のスチールのノーチラスやデイトナには王冠は無く、ゴールドの時計でもほとんど確認出来ません。つまり王冠はゴールドの時計の中でも選ばれたモデルだけに存在する王室に選ばれた希少な個体という意味です。

それではなぜパテックやロレックスには王冠が少ないのでしょうか？それはカルティエが「王の宝石商、宝石商の王」と呼ばれている通り、英国王エドワード7世がカルティエを讃え、1904年には英国のロイヤルワラントを授かり、現在もヨーロッパ16か国の王室から御用達ジュエラーとして命を受けているからです。王室のハンジャルの紋章は「CARTIER」のロゴより上に配置されていることから判断すると、今も昔もメーカーが王室から選ばれることは大変名誉なことだったのかもしれません。

こちらの固体は見た目は摩耗感が有りますが、ポリッシュをすればヘアラインもエッジも綺麗になる程度で、カルティエのポリッシュを断り未研磨を優先しています。加えた1コマのみヘアラインが修正されていますが、1コマをライトポリッシュをするか、全体を綺麗にするか、好みでどちらも選べる程度です。オークションで数千万する当時のノーチラスやデイトナのハンジャルよりもレアな個体で、今のカルティエの人気を考えるとお得かもしれません。

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