チュチマ パトリア GMT Ref.6611-02 スチール(SS) 2023年 TUTIMA PATRIA Ref.6611-02 SS Ca.2023

チュチマパトリアGMTのご紹介です。

チュチマは1927年にドイツのグラスヒュッテで創業した老舗メーカーです。第二次世界大戦下では、ドイツ空軍の公式時計として、精度と高い耐久性が求められるパイロットクロノグラフの開発・製造を担いました。終戦後、戦争の影響で資料や物資を失いながらも、キャリバー製造などで見事に復活。1985年には再びドイツ軍の要請を受けてミリタリークロノグラフの製造を担うなど、高い技術力で時計製造を行う老舗マニュファクチュールの一つとして現在に至ります。

そして、ミリタリーウォッチとしてのイメージが強いチュチマですが、2013年に自社製ムーブメントを搭載した「パトリア」を発表することによりマニュファクチュールとして高級ドイツ時計の仲間入りをしました。長くエタブリスール（ムーブメントの外部供給を受けるメーカー）としての時期を過ごしたチュチマが、初の自社製ムーブメントを搭載した意欲作となります。ムーブメントは、3/4プレートを用いた伝統的なドイツスタイルで製造されており、面取りや仕上げは全て手作業で施されています。サファイアクリスタル製のシースルーバックからその精緻な仕上げを鑑賞することができ、パワーリザーブも65時間と実用性に優れています。ケース径は43mmと存在感のあるサイズながら、洗練されたドレッシーな仕上がりで、50ｍ防水を実現しており、現代の日常生活においても安心してご愛用いただけます。また、文字盤との高い視認性を確保するため、針の上部を平らにすることで光の反射を抑え、視覚的なコントラストを高めているのも特徴です。針の面取りは恐らく手作業で、独立時計師が作ったようなぎこちなさが伺えます。正直、チュチマではなく独立時計師の誰かが作ったと聞いたらかなりのクオリティです。

本個体は、裏蓋の刻印も鮮明に残る未研磨の良好なコンディションで、純正ベルトも良い状態で残っており、「マイスター精度」が宿るドイツらしい職人技が光る一本と言えます。エレガンスでありながら43mmケースによる適度なカジュアルさも持ち合わせ、日常的にシーンを選ばず使える大変お勧めのドイツウォッチです。(文:S)

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