ロレックス×イートン プリンス ブランカード Ref.1490 1938年 クォーターセンチュリー ROLEX×EATON PRINCE BRANCARD Ref.1490 YG Ca.1938 Ser.540 1/4 CENTURY

ロレックスの中でも異色の存在感を放つプリンスは角型のケースとスモールセコンドを搭載して1928年に誕生しました。堅牢性やデザインを大切にするロレックスが製造した数少ない角型時計で、2005年にロレックス100周年を記念して復刻され話題を呼びました。スモールセコンドが大きく、時分針から独立しているため医療関係者より脈拍などの計測に重宝されたため「ドクターズウォッチ」の通称を持ちます。当時の販売価格は車の価格とほぼ同じと言われており、日本で腕時計ブームが起こった1990年前後に誰もがこの時計に憧れ、しかしほとんどの人が買えなかったモデルです。

このモデルは20世紀にカナダで大きな人気を誇ったデパートチェーンのイートンズを運営するイートン社が、勤続25年の社員に対して設けた「クォーターセンチュリークラブ」の各個人へ贈呈したロレックスの時計です。

イートンズは1930 年にはカナダのデパートの全売上のほぼ 60% を占めていた大企業で、全国に店舗や購買オフィスがあり、片田舎を含むカナダのほとんどの家庭に通販カタログがあるほどでした。つまり、ロレックスがアメリカ周辺の事業拡大を目的にカナダで最大のデパートチェーンであったイートン社と提携することにより誕生したモデルが非売品のクォーターセンチュリークラブなのです。

ロレックスのダブルネームの中でも珍しく、ロレックスが自身のブランド名を消して他のブランド名で販売した数少ない時計です。ブランガードと呼ばれる中央のくびれから上下に広がるフレア形状のケースが特徴で、裏蓋にはQUOTA CENTURYの刻印や社員の名前が刻まれています。文字盤は壁掛け時計のようなデザインで、インデックスは数字ではなくCENTURYCLUB1/4の文字が配置されております。

文字盤の腐食が多いモデルですが状態は大変良く、目立つ腐食やブルースチール針のサビ等はほとんど見られません。リューズは消耗品のため交換されていると思いますが色やデザインはオリジナルとほとんど同じため雰囲気を維持しております。ケースの状態は良く、ホールマークや裏蓋の文字がはっきり読み取れるほどです。イートンモデルはオイスターでも存在しますが、プリンスは数が少なく状態の良い個体はほとんど見ません。コレクションやロレックスの終着点の一つとして大変おすすめの逸品です。